【代表弁護士から】ペットと遺伝病
2017年01月20日(金曜日)
先日(1月11日)、NHKクローズアップ現代+でペットビジネスの歪みを取り上げていました(「あなたのペットは大丈夫!?~追跡
ペットビジネス・遺伝病の闇~」)。
大量生産のために遺伝病も増えてしまう。ブリーダーとしては、「売れるから繁殖させる」という金儲け主義。
この流れを変えていくには、ブリーダーやペットショップに対する法規制を強化していくということが必要なのかもしれません。
ただ、現在の法規制は動物取扱業の登録というところにとどまっています。
動物取扱業・・・「第一種動物取扱業」→その業種ごとに、当該業を営もうとする事業所の所在地を管轄する知事の登録を受けなければならない
飼養施設を有し、一定数以上の動物を非営利で取り扱う場合・・・「第二種動物取扱業」→届出が必要
というようなものです。
動物取扱業は届け出だけでOKだった時代もあるので、確実に法規制は強まっていますが、まだ欧米に比べると遅れていると言われます。
法規制というような大きな流れとは別に、ペットを購入した飼い主が、ペットショップなどの責任を追求していくということも考えられます。
NHKで報道されていたケースでいうと、ペットが遺伝病に罹患しているということで、ペットの飼い主がペットショップに損害賠償請求できないかという問題です。
遺伝病について責任を追求した裁判例に次のようなものがありました。
事例 てんかんをもっていた子犬を購入した飼い主が、ペットショップに損害賠償請求を求めた事案
*東京地裁平成16年7月8日判決(ペット判例集238頁)
「てんかんという疾病が遺伝的要因によって発症したものであるとすれば、それは愛玩用の犬として取引上一般に期待される品質を欠く欠点を有するものと評価せざるを得ない」
→民法のいう隠れた瑕疵にあたる。
このように民法上の責任追及は可能ではあるといえます。