【代表弁護士から】「原則面会」という考え方
2015年07月02日(木曜日)
面会交流につきましては、ここ数年大変多くのご相談・ご依頼をいただいております。
裁判所では、「原則面会」という考え方が主流となっています。この考え方は、特に問題がない場合は別居している親と子どもを面会させるべきであるとするものです。
以前は様々な事情を考慮して面会させるかどうかを慎重に検討するといったような考え方もあったのですが、「原則面会」という考え方一色といったように感じます。
一方で、「子どもの意思の尊重」というのも裁判所のトレンドです。
しかし、そのためには子どもがその点について判断する能力があることが前提となります。おおまかな傾向としては、小学校高学年以上であれば、判断能力はあると考えているように思います。
判断能力がないとされる子ども、典型的には2、3歳というような場合は、子どもの意思をタテにして面会を拒絶する理由にはなりません。
このような場合が、一番問題が顕在化します。
別居している親(例えば父親)は会いたい、子どもをみている親(例えば母親)は会わせたくないとなったときに、なかなか妥協点が見出せないからです。
このようなことが起こるのは、裁判所は「原則面会」という考え方なのに、問題を抱えている家族がそのような考え方には違和感をもっているからです。
アメリカの映画などをみていますと、母親に引きとられている子の元に別れた父親が週末会いに来て、「じゃあ明日まで子どもを預かるから」と母親の再婚相手に挨拶しながら去っていくなんてシーンが出てくるのですが、そこまで日本人の感性は追いついていません。アメリカでもクレイマークレイマー(1979年の映画)のころには、子の争奪戦をしていましたから、日本で「原則面会」が一般に定着するまでは、相当な時間がかかるでしょう。それまでは様々な問題が生じてくると思います。