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【代表弁護士から】空家問題

2018年01月24日(水曜日)

今の若い方には不思議に映るかもしれませんが、不動産ブームというのがかつてはありました。不動産は買えば儲かるという神話に基づくもので、バブルの頃などは“不動産がなくなる”などと騒がれ、交通の不便な地域にも住宅が建てられたものです。
 不動産はバブルが過ぎても1993年ころまでは値上がりし続けていました。しかし、不動産をもっていても値上がりするという時代は去り、持っていれば固定資産税がかかるお荷物であると考えられる時代がやってきました。

 最近のご相談をお伺いしていても、こんな例がありました。
・千葉の交通の不便なところに親が土地建物を所有している。親が亡くなった後、その土地建物の管理をしたくないのだがどうしたらよいか。
・親が亡くなって、親の所有していた家が空家になっているのだがどうしたらよいか。
・親は地主から土地を借りて、借地上に建物を建てているのだが、親が亡くなった後、土地を地主に返したい。どうすればよいか。

 このような相談は不動産を所有していたくない、管理もしたくないという世間の雰囲気を表していると思います。

 空家問題について、国や地方公共団体が対策を立てているのもこのような人々の考え方を背景にしています。政府は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家特措法)を制定し、平成27年に施行しています。この法律は「空家等の所有権又は管理者は周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう空家等の適切な管理に努めるものとする」と定めており(3条)、所有権者等の管理責任を強調しています。
 このような空家の管理責任を避けるために、相続時に相続放棄を選択するケースが多くなっているのではないかと思われます。相続放棄という手続きは、ご本人がお亡くなりになってから3ヶ月以内に行わなければならないのが原則です。3ヶ月以内にご本人の財産状況を調査して、放棄するか否かを決めなければならないのは、スケジュールとしては非常にタイトですので、できれば早め早めに検討しておいた方がよいです。

 それでは、相続放棄をしてしまえば、空家の管理から完全に逃れることができるかというと、これがそうでもないのです。
 民法940条には、「相続財産の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産の管理を継続しなければならない」と定めております。
 全ての法定相続人が相続の放棄をした場合、財産の管理をするのは相続財産管理人ですが、この相続財産管理人は家裁に申立てをしないと選任されず、かつ、申立てをした者が管理人の費用を予め納めなければなりません。
 このように空家の管理から完全に免れるためには相続財産管理人の選任申立てまでしなければならず、場合によっては費用がかかることとなります。
 相続して不動産を管理していくか、相続を放棄して管理から逃れるか難しい選択を迫られる時代になってきたといえます。

【参考文献】Q&A自治体のための空家対策ハンドブック(ぎょうせい)

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代表弁護士 井川 夏実

井川 夏実Natsumi Igawa

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