【代表弁護士から】弁護士懲戒が過去最多というニュース
2017年03月14日(火曜日)
「弁護士懲戒過去最多」というニュースが報道されていました。
懲戒114件のうち、戒告が60件と大半を占めています。 戒告は戒められたという履処分は残りますが、 業務停止のような直接的な影響はなありません。 業務停止以上というのは、 それなりに重い処分ということがお分かりいただけるかたと思いま す。
懲戒を申し立てても、申立てる側には金銭的な利益はありません。 インセンティブがないのに申立てるというのは、 それなりの理由があるからとも思われます。 その理由は色々あるのでしょうが、 腹に据えかねてというケースもあるものと思われる。
弁護過誤は弁護士の信頼をなくすから、弁護士サイドからも根絶する努力をすべきものですが、残念ながら弁護士会が行なっているのは、弁護士倫理というものの研修ばかりです。懲戒されるケースは弁護活動の遅滞とか横領とかのケースなのですが、それを封じこめるのに倫理の研修をしたところで何の役にもたちはしません。頼まれたことを遅れないようにやりましょう、預かっている人のお金を盗んではいけませんよということは、小学生でも分かることで、いちいち倫理研修なんてする必要ありません。
現状では有効な対策が全然たてられていません。全く危機的です。横領事案に対し、日弁連は見舞金制度を作ったが、事後的な火消し策にすぎません。横領の根幹は、弁護士の預かり金にあるわけで、ここにメスを入れないといけないのですが、そんな動きは見られません。
ということで、弁護士の不正を抑制する手段は制度的に取られていません。個々の弁護士の道義心に任されることになってしまっています。弁護士不正の被害にあわないためには、依頼者が自ら守るしかない状況が続きそうです。