【代表弁護士から】栃木女児殺害事件の被疑者報道
2014年06月06日(金曜日)
2005年に栃木県今市市の小学生が殺害された事件。6月3日に32歳の男性が逮捕された。
誠にひどい事件である。
二度とこのような事件は起きてほしくないと誰もが考える。
では、具体的にはどうすればよいのか?
犯人を摘発し、厳しく罰することを考える人が多いのではないだろうか。
厳罰主義は犯罪撲滅の一つの手段ではあろうが、ただ厳しくするというだけでは限界がある。
報道によれば、被疑者は台湾から来て日本語がうまく理解できず、中学にもあまり登校しなかったという。友達も少なかったそうである。引きこもりのような生活をしてナイフを集めていたとの周囲の供述もある(日本経済新聞6月4日朝刊)。
このようなことが犯罪の下地になった可能性はある。
犯罪者は往々にして社会から孤立して苛立ちを強めるものであるが、寛容でない社会は孤立化する人間を増やしていくという側面もある。
こういうように考えていくと実に悩ましい問題である。
刑事弁護人としても犯罪がなくなればと願うのであるが、では目の前にいるこの人(被疑者、被告人)が犯罪を行わなくなるにはどうしたらよいのかという問題を解くのは簡単なことではない。