【代表弁護士から】賃料の管理は大切です
2017年10月10日(火曜日)
前回は賃貸借契約を連帯保証人の立場から見てみました。
今回は賃貸人の立場から見てみます。
物件に空きがある状態では賃料が入ってきませんから、まずは借りてくれる人を見つけなければなりません。
ここでは不動産屋さんの出番です。
法律的にいうと、賃貸借契約の仲介をする仲介業者の役割となります。
入居のときには支払いが滞らないように審査をしますが、賃貸借契約はかなり長期に及ぶこともありまして、賃借人に何が起こるかは読み切れません。人によってはリストラされてしまったりすることもあるでしょうし、転職を余儀なくされるということもあるでしょう。その結果収入が減ってしまうということもあるでしょう。
そんなときには、賃料の支払いが滞ったり、支払いをしなくなるときがあります。
このような場合には直ちに対処しないといけません。
弁護士として多重債務のある方の債務整理の弁護をすることもあるのですが、多重債務に陥っても、賃料を延滞するというのは余程の状態です。多くの方は、サラ金等では延滞していても、賃料は問題なく支払っているものです。
賃料に影響がでるということはかなりの異常事態にあると考えた方が良いでしょう。
さて、ではどう対処したら良いでしょうか?
まずは少しでも延滞が生じたら、直ぐに賃借人に連絡をすることです。
電話で連絡を取るのが一番ですが、電話に出ない賃借人もいますし、書面で証拠を残すという意味でも請求書は郵送するべきです。また、このとき連帯保証人にも連絡をすることを忘れてはいけません。
このような入金の管理⇒延滞したらすぐ督促というのは、当たり前といえば当たり前なのですが、意外とできていない賃貸人の方もいます。
特に管理を不動産会社に委ねておらず、ご自身で管理している方に相対的に多く見られる現象です。
貸している物件の数が多い方は特に注意が必要です。
このように1回支払いを遅滞したときに督促をするのが大事ですが、このときに賃貸借契約を解除することはできません。
賃貸借契約書に1ヶ月の支払いの遅滞があれば、契約を解除できると書いてある契約はあまり見かけなくなりましたが、仮にそのように書いてあったとしてもその部分の契約は裁判ともなれば無効を宣言されてしまいます。
裁判所は、賃借人の立場にかなり配慮しており、「賃貸借の基調である相互の信頼関係を破壊するに至る程度の不誠意がある場合」に限り解除を認めるという立場を取っているからです。
「不誠意」とだけしか書かれておらず、最高裁がどのくらい延滞となった場合に解除を認めるかは明示されていないのですが、概ね3~4ヶ月連続の延滞となった場合には契約の解除が認められるのではないかと言われております。
このように契約の解除が認められるためには、数カ月の延滞が必要ですが、それまで手をこまねいて何もしないのでは、未払い賃料がたまっていくだけです。
賃貸人としては積極的な賃料管理をしていく必要があります。