【代表弁護士から】人生100年時代と隠居
2018年08月01日(水曜日)
人生100年時代などという言葉が聞かれるほど長寿の方が多い時代となってきました。
高齢化が進んでおりますが、一方で、組織や経済を活性化する必要もあって、このバランスを取るのは難しいですね。
会社などの組織では定期的に人事異動をして組織を活性化していくわけですが、小さな法律事務所だとそのような人事異動をするわけにもいきません。
そういえば、江戸時代には隠居という制度がありました。今年没後200年を迎える伊能忠敬も佐原の名主などを務めあげて50歳で隠居。51歳から江戸に出て、天文学や測量の道に本格的に入っていったのでした。
まだ元気なうちに後進に道を譲る隠居という発想は、現代でも見直されてよいかもしれません。
ところでさきほど隠居という制度が江戸時代にあったと書きましたが、隠居というのは明治以降現行憲法が施行される1947年までは、民法上に存在していました。
この隠居というのは、戸主が家督を他の者に譲ることをいいまして、家制度と結びついたものです。
隠居というものも家制度と深く関連づけられて理解されているようですが、家制度を離れれば年長者が有している利益や権利を手放して次世代に渡すという機能を有することは明らかです。
隠居というイメージは、隠居後に何もしない、のんびり暮らすというものですが、現代においては、伊能忠敬に範を取り、積極的に他の分野に打って出るということこそが求められるような気がします。