【スタッフ雑談】吉田博展
2017年02月22日(水曜日)
事務所から徒歩数分の場所にある千葉市美術館は、見応えのある企画展が度々開催されます。
昨年同館にて開催された「生誕140年吉田博展」。
吉田博という画家を知らなかったのですが、明治から昭和にかけての風景画家の第一人者で、山が好きな人におすすめといった新聞記事を読み足を運んだところ、個人的にはここ数年の中で1番と思うほどの展覧会でした。
生誕140年を記念した大回顧展とのことで、初公開となる写生帳も含め300点程の水彩、油彩、木版画が展示されており、水彩や油彩もさることながら、中でも特に心奪われたのは49歳から始めたという木版画。彫りや摺りも画家自ら手掛けたというその精緻な彫りと、平均30版以上という多色刷りによる作品は、木版画であることに驚きを覚えるほどに繊細で色彩豊か。水の流れ、光のうつろい、水面の光のきらめきなどは細部まで見入ってしまうほど実に見事で、渓流を描いた作品は、実際に渓流を見ているかのような感覚になるほどに水の流れや飛沫が彫り、摺られ、水の音まで聞こえてきそう。
また、山の朝の作品は、陽の光で空と山の頂上から次第に彩られていく様が微妙な色のグラデーションで表現され、夜が明けていく山の気配までもが伝わってきます。
いずれの作品もその場所の気配や空気感までもが伝わってくるようで、作品の前から離れがたいほどに魅了されました。
展覧会は各地を巡回中で、現在は久留米市美術館にて開催中(~3/20)。
その後、上田市立美術館、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館にて開催予定とのことなので、再度見に行きたいと思っています。
(R)