【代表弁護士から】戸籍について
2016年07月15日(金曜日)
日本には戸籍制度がありますが、この制度があるのは今や日本と台湾だけのようで(韓国は2008年に戸籍制度を廃止)、世界的にみるとガラパゴス化していると言われても仕方のない状態です。
日本での本格的な戸籍制度は明治時代からですから(江戸時代は人制帳や家門帳であり、戸籍制度はありませんでした)、150年近く続いています。
戸籍と住所とは別ものなので、感覚的にはちょっとおかしなことも生じます。
例えば、大地太郎さんと大地花子さんという夫婦がいて、大地一郎君という子を産んだとします。筆頭者が太郎さんだったとすると、大地太郎-花子-一郎という戸籍となります。ここで、太郎さんと花子さんが離婚すると、花子さんはこの戸籍から抜けます。
ところが、一郎君は何の手続きもしなければ残ってしまいます。親権者が太郎さんであろうが、花子さんであろうが、それは変わりません。
つまり、大地太郎‐一郎という戸籍と、大地花子という戸籍になります。もちろん、花子さんが親権者であれば、一郎君を花子さんの戸籍に移す手続きというのはありまして、氏の変更の申請を家裁にし、その許可の審判がでれば、一郎君を花子さんの戸籍に移すことができます。
これがもっとも多くみられるケースですが、そうでないケースもみられます。
一郎君の親権者は花子さんで、花子さんが実際に育てているのに、花子さんがあえて自分の戸籍に一郎君を移さないというケースです。
太郎さんからすれば、一緒に住んでもいない一郎君が同じ戸籍に入っているということに違和感を抱くものですが、戸籍というのは、住所とは別ものなので、戸籍上は何ら問題がないのです。
太郎さんとしては、一郎君を戸籍から外そうと思っても外す手段もありません。戸籍制度というのはこういうことが起こってしまうもののようです。