【代表弁護士から】保釈 今むかし
2015年09月03日(木曜日)
刑事事件の保釈は、以前は認められにくかった時代もあるのですが、最近は少しずつですが認められる例も増えてきました。
統計上も、平成15年の保釈率12.6%が最低値で、平成22年には20%近くまで上昇しています。
保釈の運用が厳しい時代は、覚せい剤の自己使用の事件でも、保釈がなかなかでませんでした。保釈がでても、保釈保証金が200万円とか250万円で随分と高い金額を積まなければ保釈されませんでした。
今では、覚せい剤の自己使用事件では、使用自体を認めていれば初犯の場合は、わりとすんなり保釈が認められますし、保釈保証金も150万円程度で済むケースも有ります。
弁護士サイドは保釈の運用が厳しすぎることを批判してきましたが、裁判官の考え方がなかなか改まりませんでした。
裁判員裁判に関する法律が成立し、短期間で集中的な審理をしていく上で、保釈の必要性が見直されてきました。
裁判官からも、これまでの保釈の運用ではいけないので、もっと変わらなければならないという論文も出始め、ようやく保釈の運用が変わってきたように思います。
もっとも、保釈がでやすくなったのは、覚せい剤の自己使用や道路交通法違反、自動車事故のケースであって、重大犯罪(殺人など)や組織的犯罪には保釈は相変わらず厳しいです。
ある意味、事案によって、でやすいものは保釈がでるし、そうでないものはでないという時代になってきたのかなと思います。
こういう時代には保釈が成功したら手数料を上乗せするというのは、弁護士の料金体型としてはどうかなと思わないでもありませんが、昔からの習慣をすぐに変えるということはなかなか難しいものです。