【代表弁護士から】GPSで配偶者の位置を把握することの問題点
2015年08月21日(金曜日)
GPSを利用して、不貞などの疑いのある配偶者の位置を把握するということが行なわれているようなのですが、法律上は色々な問題があります。
しかし、未だ議論が続いている状況であり、これといった決定的な見解はないと思われます。
まず、ストーカー規制法違反に問われる可能性があります。
2014年11月10日には、元交際女性の車にGPSをつけて行動監視をしていた男性が、警視庁に逮捕されたとの報道がありました。
ストーカー規制法では「その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知りうる状態に置くこと」を行うと、ストーカー行為となりますから、GPSの利用による監視がストーカー行為にあたる可能性は十分あります。
しかし、先の逮捕報道は逮捕に関する報道しかなく、検察官が起訴をしたのか、裁判所が有罪判決を出したのかの確認ができません。つまり、警察がストーカー行為にあたると考えたことは確かですが、それ以外の機関がどのような見解を有しているのかまでは確認が取れません。
刑事事件では警察がGPSを使って、被疑者を追尾するのに令状が必要なのか不要なのかが争われています。
大阪地裁で2つの決定が出ていますが、全く正反対の見解です。
1つはGPS捜査は特にプライバシー侵害の程度が大きいとはいえないから、令状なしでの捜査でも証拠となりうるとしていますし(平成27年1月27日決定)、他はプライバシー侵害の程度が大きいので、裁判所の令状が必要だとしているのです(6月5日決定)。
以上のような状況であり、GPSがプライバシー侵害の程度が大きいのか小さいのかといった点から、裁判所の見解が割れております。
もっとも、プライバシー侵害があること自体は一致しているとみることが可能なので、法的に全く問題ないとはいえない状況にあることは間違いなさそうです。