【代表弁護士より】判決を執行することの難しさ
2014年05月13日(火曜日)
権利を実現するのはつくづく難しいと感じます。
例えば、交通事故で損害賠償金を加害者に請求して、判決が確定したとします。
加害車両に任意保険がついていれば損害賠償金が決まったら取りはぐれるということはありませんが、任意保険がついていないケースだと損害賠償金を支払ってもらうことは非常に困難です。
判決には、加害者の財産に対して強制執行(差し押さえ)という効力しかないからです。
つまり、加害者に財産がなければ、判決は損害賠償金について書かれた単なる紙切れとなってしまいます。
任意保険に加入していない加害者に財産がほとんどないであろうことは容易に推測できます。仮に一定の財産を保有していたとしても、どのような財産があるのかを調査することは非常に困難です。
民事上の債務を返済しないと拘禁されるという法制度も外国では存在していましたが(ドストエフスキーの小説を読んでいると、そのような話がでてきます)、現代の日本にはそのような制度はありません。
つまり、債務を返済しなくても、身体を拘束されるということはないのです。
このように判決を執行することは、時として非常に難しい場合があります。
残念ながら、これが日本の法律の弱点です。
判決の執行力が弱いことは、日本の法律の弱点なのですが、一向に改まらないのはどういうことでしょうか。
国会で法律を改正する以外方法がないのですが、そのような動きも全くないのが現状です。