離婚問題の相談例
配偶者が行方不明に。訴訟を提起して勝訴判決。
Bさんのケース(女性40歳代)
Bさんには会社員の夫がいました。 子どもはいませんでしたが,夫名義のマイホーム(一軒家)で,2匹の猫と暮らす日々が続いていました。
そんなとき,会社から一本の電話がかかってきました。 夫が無断で欠勤したというのです。事件か事故に夫が巻き込まれたのではないかと思ったBさん。しかし,あとでわかったことは,夫は会社の金を600万円ほど使い込んでいて,そのことが会社にばれており,行方不明になった日には,返済の計画を会社に提出する日だったのです。 また,行方不明になった日に,夫の口座からあるだけのお金が引き出されており,引き出しをしたのは夫自身であることがわかり,事件,事故に巻き込まれたものではないということもわかりました。
茫然自失のBさん。しかし,間もなくそれどころではなくなりました。サラ金から一斉に督促の電話が入ってきたからです。夫がサラ金から借金をしていることをBさんは聞かされていませんでした。 Bさんに残されたのはマイホームだけで,幸い住宅ローンの支払いは終わっていましたが,Bさんの名義ではありません。 これをサラ金に差し押さえられてしまっては,暮らしがダメになる。そう思って,Bさんは弁護士の事務所に相談に行きました。
Bさんのようなケースでは,夫に対して離婚を請求すると同時に,マイホームを財産分与で取得することが必要です。 また,夫がどこかで不動産を売って金に換えてしまう恐れもありますので,財産分与が決着するまで,夫が不動産を処分しないようにする仮の処分(処分禁止の仮処分)を裁判所に申し立てる必要もあります。
弁護士は,まず処分禁止の仮処分を申し立て,裁判所に認められました。 また,すぐに離婚と財産分与を求めて,訴状を裁判所に提出しました。 夫が行方不明の場合は,公示送達という特別の方法で訴状が夫に届いた扱いにするのですが,その手続も弁護士が行います。
このような手続を経て,Bさんは離婚とマイホーム全部をBさん名義にするという財産分与の勝訴判決を得ました。 Bさんがマイホームに暮らし続けたいとういう願いは,法律上実現されました。
Bさんが早く弁護士のもとに相談にこなければ,不動産がどうなったかはわからなかったケースです。